イヤホン レビュー

可能性を秘めるがチューニング不足|SOUNDPEATS H3

今まで聞こえなかった音が聞こえる解像力・分離感の高いイヤホン

自費購入のレビューであり、製品提供などではありません

SOUNDPEATSの中では最も高価なワイヤレスイヤホン。
1基のダイナミックドライバーと2基のBAドライバーの組み合わせで解像感と分離感の高い音質。

楽曲によっては分離感が強すぎて音にまとまりがなくなる場合があるものの、これまで聞きなれた楽曲の新しい側面を見せてくれる面白いイヤホン。チューニング不足で粗削りと感じる部分があるものの、潜在的なポテンシャルはある。

ファームウェアで傾向が変わるという話もあるので注意。(当方はFW 0.4.9)

強み
・解像度がとても高い
・分離感がとても良好
・定位感が良好
・深みのある低音
・様々なコーデックに対応
・対応アプリが充実
弱み
・低音や中音と比べると高音に艶っぽさがない
・分離感が強くまとまりがない(場合がある)
・DAPで専用アプリが使えない(場合がある)

製品の仕様

メーカー SOUNDPEATS
製品 H3
発売日 2025年6月24日
価格 15,880円
タイプ ワイヤレス
形式カナル型
ドライバーダイナミック φ12mm
BA 2基
平面磁界 -
Bluetooth 5.4
コーデックSBC 対応
AAC 対応
aptx 対応
aptx Adaptive 対応
aptx Lossless 対応
LDAC 対応
バッテリー本体 35mAh*2
ケース 400mAh
連続再生時間 約7時間 本体
約37時間 ケース併用
防水IPX5 
重量本体 約6g
ケース+本体 約53g 
サイズ 70.88*48.18*31mm
アプリ PeatsAudio
機能NC 適応型
室内
屋外
屋外交通
アンビエント  対応
マイク6基
AIアルゴリズムNC 
マルチポイント 対応
LE Audio -
Auracast -
装着検出機能 -
ゲームモード対応
付属品イヤーピース5(XS/S/M/L/XL) 
 USBケーブル 

実際に使用してのレビュー

使い勝手

箱・付属品

Air5 Proと比べて高級感のあるデザイン。購入体験として満足のいくもの。

付属品はイヤーピース×5種類とUSBケーブル、および説明書などの書類。

外装・装着感

ケース

OPERA 05の流れをくむ、プラスチック製ながら高級感のあるデザイン。黒を基調としてルミナスゴールドをアクセントとして配色。

ケースからイヤホンを取り出しやすく、収納もしやすい。

充電用のUSB-Cポートとペアリングなどの操作が可能なボタンを搭載。

本体

筐体はクリアなプラスチックパーツを使用。フェイスカバーはケースと同じくルミナスゴールド。

サイズがやや大きめながら、しっかりと装着できるので不安定さは感じない。大きいぶん、タッチ操作に反応しない側面を掴みやすく、誤操作を避けることができる。

アプリ・カスタマイズ

同社のPeatsAudioアプリに対応。残念ながら、手持ちのDAP(FIIO M21)ではインストールすることができなかった。

マルチポイントに対応しているため、DAPと繋げたままスマートフォンとペアリングしてカスタマイズやファームウェアの更新が可能。ただし、この場合はLDACを利用不可。

音質の傾向

ドンシャリのようで中音が負けていないW字タイプ。

低音

深みがあり、音圧のある低音。ブーミーというほど強すぎず、存在感を維持しつつ響きや繊細さを感じる。

中音

低音に負けず、引っ込んでいない明瞭な中音。ただ、後述する強い分離感で、主張の激しい音源が気になる場合あり。

高音

明瞭で解像感が高いものの、余韻がなく、煌めきや艶っぽさという感覚は得られない。低音や中音に見られる深みや響きがない。硬め。

聴きやすさ

適度な硬さで高音が刺さる印象はない。低音もブーミーと言うほど過剰な響きは感じない。SOUNDPEATS Air5 Proのほうが少し硬めと感じる。

解像感

解像感は非常に高い。同価格のイヤホンでは聞こえなかった音が良く聞こえるし、細部まで明瞭。

ただし、状況によっては分離感と解像感が過剰で「聞こえすぎる」場合もある。この場合、音のまとまりが無くなり、一つの音源が妙に主張しすぎていると感じる。良い意味でも悪い意味でも解像感の高いイヤホン。

音場・定位

響きのある音が広い空間を感じさせ、定位が良好。解像感や分離感と相まって、クラシックやジャズと相性が良い。

総評

兎にも角にも高い解像度が光るイヤホン。
これを高音質と捉えるか、まとまりのない音と捉えるか、好みが分かれるところ。個人的には音が分離しすぎており、もう少し分離感が弱くても良かったのかなと。

少なくとも他のイヤホンと比べて解像度が非常に高いので、違いが分かりやすいという点で一見の価値あり。

購入に関するアドバイス

買うべき

音のまとまりより一つ一つの音を聴きたいのであればパフォーマンスの良い選択肢。

音数の多いクラシックやジャズなどに好適。臨場感のある雰囲気を楽しみたい場合も面白い。

買わないべき

主にポップスなどを聞く場合、稀に音が分離しすぎている楽曲に遭遇する。まとまりのある音楽を聴きたい場合、それぞれの音に意識が散漫になり集中できない。

流し聞きするような状況では「え?こんな曲あったっけ?」と感じる場面もけっこうある。違和感が先にきてしまい、楽曲の勢いに乗りきれないときもある。

類似する製品

Moondrop Ultrasonic

ダイナミック1基ドライバー + BAドライバー1基とH3に似た構成のイヤホン。比較的安く、常時1万円以下で入手可能。

H3と同じく解像度が高く、分離感がやや強め。ただし、H3ほど響きのある低音・中音ではなく、解像感や定位感もH3がより良好。特に低音のインパクトはH3のほうが大幅に良い。Moondropは深い低音があまり聞こえず、音が軽い。

そのいっぽう、高音の表現はMoondropのほうが良いと感じた。H3にはない艶っぽさや煌めきがある。
(H3が低音に引っ張られすぎているだけかもしれない)

解像度や定位感が良いぶん、分離感が過剰と感じるのはH3。イヤホンの音質の違いを楽しみたいのであれば、H3のほうが「買った感」がある。

Edifier Neobuds Pro2

ドライバーは10mmダイナミック1基+BA1基の構成。通常価格はH3とよく似ているものの、セールやクーポン併用で1万円を切る程度で購入可能。

傾向はH3とよく似ており、低音の響きや音圧はほぼ互角。ただし、解像感や音場・定位はH3のほうが良好と感じる。

EdifierはH3ほど音場の広がりや分離感がよくないとはいえ、十分以上に良好と言える水準。また、意識しなくても音がまとまっているので聴きやすい。流し聞きするならEdifierのほうが適していると感じた。H3ほどの個性を必要としていないのであればEdifierがおススメ。

参考リンク

鑑賞環境

  • 再生機器:FIIO M21(USB DAC mode)
  • 再生アプリ:Amazon Music UltraHD / HD

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